2019年07月13日

(1)キャラの活かしに情熱を燃やす男

ウルトラセブンといえば、キル星人の操る恐竜戦車と戦った際、キャタピラの前にいい感じに前腕部を差し出し、妙な間を取ったあげく踏まれて痛がるという「押すなよー、押すなよー」で有名な竜ちゃんのネタフリそっくりの動きをしたことで知られています。

このときのセブンの場合は「踏むなよー、踏むなよー」で、パントマイムではありましたが、踏まれた後の「訴えるぞ!」に至るまで竜ちゃんばりの笑いを誘うリアクションを展開し、かなりのエンターテイナーであることが知られています。

700キロを突っ走れ!

ちなみに恐竜戦車というのはその名のとおり、キャタピラの上に恐竜が乗っかっているだけという斬新なコンセプトの怪獣です。
キャタピラを降りると普通の恐竜になってしまうので、自分が立つとキャラが立たなくなる設定ありきの芸風です。

でもこういうキャラは、「キャラ崩しキャラ」とでもいうネタが確立すると面白くなります。

たとえば、常識的なコメントをしてしまったことを指摘され「いや・・俺はワイルドだぜぇ」と押され気味に否定するスギちゃん。

大網あたりの土地勘に関するフリに反応して「千葉出身じゃないの?」と問われて「いえ・・こりん星から来ました」と言い張るゆうこりん。

キャラが崩壊してることを逆手に取った設定へのこだわりは、決まると定番ネタとして笑いを取れます。

恐竜戦車も、カメラから切れているアングルでこっそりキャタピラから降りかけたところを「あ、恐竜になってる!」と突っ込まれた瞬間、足を地面から離し「イヤ降りてねえし!」とうそぶくキャラとしてネタの幅を広げられそうです。

しかし、セブンとの戦いは初登場ですから、まだキャラを崩すと設定が浸透しません。
最初はとにかく設定に沿ったキャラで通すべきです。

だからこの時は最初から最後まで、キャタピラから降りない台本を徹底し、恐竜戦車も設定を厳守していますから、その中で場を切り回すのはもっぱらセブンの役割です。

そう、セブンは芸術家肌で、徹底的に台本を作りこみ、場作りにもこだわるタイプだったのです。


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2019年07月14日

(2)オンエア前のテンション上げを担うカプセル怪獣

現在活躍しているお笑い芸人には、「前説」という仕事を経験した人が多いといいます。

前説とは、会場に一般の観客を入れる催しで、司会者などが番組を進行しやすいよう、拍手のタイミングや諸注意などを説明しつつ、観客の気持ちをまとめて、番組に適切なテンションに上げておくトークを担当するといった役割でしょうか。

10秒で人の心をつかむ話し方――「前説」のプロが教える声・表情・姿勢

観客は、会場へ来るまでに十人十色な個人事情を抱えており、そのバラバラな気持ちのまま客席に座ります。

初めてテレビ番組の会場に来て緊張している人
待ち合わせ相手が遅れたため食事ができずにお腹を空かせている人
食べたばかりで少し眠い人
会社には体調不良と嘘を言って来ているからカメラに映りこむことを警戒している人


そんなまとまらないメンバーたちは、番組を作ろうと気持ちをひとつにしているスタッフや出演者にとっては、不協和音以外の何物でもない。

それをまとめる役割が、司会者一人の肩にのしかかるのは、あまりにも負担が大きい。
コントロールしきれない可能性もあるでしょう。

それに、製作スタッフによる収録中(生放送中)の注意事項はどうせ必要なのだから、それを真面目くさった説明でしらけさせたり、高圧的な態度で接して、萎縮させたり反感を買うような言い方はしないほうがよい。

特に、楽しむ番組の場合は、注意事項説明も楽しい感じで客を誘導するのが効率も良い。

駆け出しの芸人が客あしらいの修行をするにもよく、すでにあしらいが上手いのならば、そのアピールの場としても前説は適切です。


それで、前説をする側の話ですが、当然のことながら、客の気分を下げてはいけません。

だからといって、自分のネタをゴリ押しして、あまりにウケすぎてしまうのも考えものです。


メインの司会者やキャストを喰うほど、前説の若手が客の気持ちを握ってしまっては、今度は出演者やスタッフからの好感度が下がってしまうリスクがある。
今後の仕事にも差し支えるでしょうから、ほどほどにしなければならない。

それでいて、客の気持ちだけをアゲて、これから始まる番組へ集中させたところで、舞台からサッとはけなくてはならない。

前説とは、気持ちのつかみ方、引き回し方、自身の引き際などの高度な技術が要求される、想像以上に難しい仕事です。

それが、カプセル怪獣の役割だったわけです。

セブンの敵を、自分が倒してはいけない。

かといって、全く歯が立たないようでは仕事にならない。


カプセル怪獣には、良い感じに会場を温めておく、極めてファジーな、空気を読み切る能力が要求されます。

芸術家肌で、とにかく台本を作りこむセブンの下で働き続けた彼らへのプレッシャーは、かなりのものだったことが想像されます。

posted by 四緑文鳥 at 10:55| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする

2019年07月15日

(3)盛り上げすぎてはいけないカプセル怪獣

ウルトラセブンにカプセル怪獣が登場した回数は、さほど多くありません。
というか、数えるほどしか登場しません。

カプセル怪獣を知っている人が読んでる前提で、ここまで説明抜きで書いてきましたが、一応簡単に述べておきます。

私が小学生時代に得た情報では、カプセル怪獣とはウルトラセブンのペットだと紹介されていました。

故郷・ウルトラの星では、セブンはこれらのペットと遊んだりしているようなのですが、地球での過ごし方は当然それとは異なります。

主に、モロボシダンがウルトラセブンに変身できないときに、ダンに代わって敵と戦う存在として活躍の場が設けられています。

「ペット」と呼ぶにはあまりにも過酷な気がしますが、ところ変われば役割も変わるということなのでしょう。

ちなみに、アーケードゲームで「ウルトラマン」が開発され、ゲームセンターに置かれていた時期があり、その続編で「ウルトラセブン」が登場しました。

ウルトラセブン

私は2つともゲームセンターでプレイしましたが、両者の造りで最も違うのが「ウルトラセブン」では、セブンの前にカプセル怪獣を登場させる選択が可能な点です。

この場合、プレイヤーは最初にカプセル怪獣として敵と戦い、負わせたダメージを引き継いだまま、やや有利な状態でセブンとして戦えるメリットがあります。

とはいってもカプセル怪獣は弱く、戦闘時間も短いため敵を倒し切ることはできません。
上手なプレイヤーでも、敵の体力を少し削るのが精一杯です。

私は下手だったので、敵の自然回復を上回るダメージを負わせられず、結局、セブン登場時には敵の体力は満タン状態に戻っていました。
これでは、何のためのカプセル怪獣投入だったか分かりません。

念のため、ユーチューブのTAS動画で「カプセル怪獣で敵を倒し切る」というものを探しましたが見つかりません。

やはりそれは不可能なようです。

前説で満足して客が帰ってしまうようなものだからでしょう。

カプセル怪獣に『活躍しすぎ』は禁物。
でも、活躍できなければ『存在の意味無し』の烙印を押されてしまうのです。
posted by 四緑文鳥 at 11:26| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする

2019年07月16日

(4)部下を手持ち無沙汰にする男

話は戻りますが、ウルトラセブンでのカプセル怪獣登場回は多くない。

セブンの場作りの感覚から言うと「ここでは前説(マエセツ)不要」と判断した場合、前説担当に出番はない、ということです。

「ウチでは『前説のための前説』みたいなことは、やらせないよ」

クリエイターの矜持、ここにあり。

それはわかりますが、前説でもなんでも、とにかく自分が売れるきっかけをつかみたい若手にとっては、客前に出られないのはかなりの痛手です。

上司とはいえ…いや、上司だからこそ弱者である側からは、渦を巻く感情の矛先になってしまうのも仕方ありません。
データベースのトリセツ | 人間関係はITで改善できるか
モロボシダンが身に付けているカプセル怪獣のケースには、5つのカプセルが収められています。
ブースを5つ用意していて、派遣会社には常にそのブースを満たす人員の確保を要求しているらしい。

番組で登場したのは3体の怪獣しかおらず、残りの2つにはどんな怪獣がいるのかは最終回に至っても謎のままでしたが、派遣会社の営業の必死の努力によって、使われなかった2つのカプセル(ブース)にも、人員は待機していたに違いありません。

待機自体に意味があるので、そこにいる2体の怪獣にも賃金は支払われています。
登場する機会が無いだけでしょう。

「ただ座ってるだけで作業が無いんですけど、こんな仕事あるんですか? これでいいんですか?」

一般オペレーターをまとめる仕事をしていた頃、私自身もこう質問されたことがあります。

「作業する前に、『既定のブースを埋める』という役割がある。だから、自分のIDでPCにログインしてもらっていること自体に、意味があるんです」

そのように返答することが、何度もありました。

カプセル怪獣として、敵と戦ったシーンを持つ3体の怪獣にしたところで、戦闘作業をしている時間以外は、ただブースを埋めているだけしか、することがありません。

どんなに高い能力を持っていたとしても、それを発揮して認めてもらう機会は得られない。

作業できないならせめて、マネジメント能力を証明しようとして、仲間たちをまとめ上げるようなパフォーマンスを見せたがるスタッフもいますが、管理者の立場からすると、結構それは迷惑だったりします。

それに、カプセル怪獣を統括するのは、あの芸術家肌のウルトラセブン。

台本の作りこみには人一倍うるさく、段取りや演出には強いこだわりを見せます。

多分、血液型予想ではB型かAB型と噂されるだろうし、クレッチマーの気質分析では典型的なS型と判断されるでしょう。

そういう意味で、カプセル怪獣たちは「前説」と「ブース充足要員」という役割で集められたメンバーであるにもかかわらず、気難しい上司の下に就かされたがゆえに、非常な苦労を強いられることになることは想像に難くありません。
posted by 四緑文鳥 at 20:05| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする

2019年07月18日

(5)他人の手助けが邪魔な男

ウルトラセブンは客演を嫌います。

兄弟に助けに来てもらうことは、少なくとも「ウルトラマンレオ」にいたる最初のブームの頃は、ごく当たり前にありました。

そんな中、共に戦ってくれる心強い仲間の登場を嫌ったセブン。

彼がどれだけ客演を嫌ったかは、最終エピソードに登場した『セブン上司』と呼ばれる存在に対する態度に見て取れます。

「もう変身してはいけない」

体への極度のダメージに苦しみ、寝込んでいるモロボシダンの枕頭に立ち、説得を試みるセブン上司。

ウルトラ怪獣名鑑 史上最大の侵略 セブン上司 レアver. クリア

その姿はウルトラセブンそのものですが、セブン自身ではなく、彼の上司であるらしい。

小学生時代にこれを見た私は、全く意味がわからなかった。

(『上司』ってなんなのだ?)

それがまず不明だし、姿はセブンなのです。そしてダンはセブンでもあるので、『セブンがダンを見下ろす』という光景は、子供には理解不能でした。

そんな私の心情とは無縁に、セブンは味方気取りでノコノコやってきた株式会社M78の出しゃばり野郎が許せなかった。

その証拠に、私がセブン上司の存在を知ったのは小学館の『決定版ウルトラ兄弟』ではなく、『ウルトラ怪獣500』という書籍です。


ウルトラ怪獣500 (コロタン文庫 (41))

そう、つまりセブン上司は『怪獣の一種』として扱われたのです。

ウルトラセブンの客演嫌いは、そこまで徹底していたのです。

そうなると、敵がどれほど強くとも、セブンはわが身と、ブースに用意した派遣スタッフ自分が連れてきたカプセル怪獣だけでことを済まそうとする。

カプセル怪獣たちにとっては、将来のキャリアアップは配慮されず、ほとんど作業を与えられない待機状態ばかり。
そして、待ちに待っていた作業といえば、手に余るとんでもない過重労働ばかり・・

派遣先の勤務実態がそのような状況では、スタッフを送り込んだ派遣会社の営業も、実のところかなり投げやりな状態だったのではないでしょうか。

ある程度の戦力になり得る人材3人(ウィンダム、ミクラス、アギラ)をセブンに提供しましたが、残り2人については

「お宅の会社の勤務状況では、ウチの登録スタッフも難色を示すので、要求どおりの人材は、そう簡単に集まりません」

と、軽い逆クレームがあったことは想像に難くありません。
第4幕:オールマイティなスペシャリスト
いくらワンマン経営だとはいえ、自社側の関係者がいる以上、組織として動くための配慮が必要です。

しかし、芸術家肌一辺倒のセブンには、その辺のバランスが難しかったのでしょう。
このような状況下で、カプセル怪獣たちは働いてきたわけです。

では、3人を軽く見ていきましょう。
posted by 四緑文鳥 at 05:40| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする
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