水戸黄門のシリーズ史上最強の呼び名の高い「鉄羅漢玄竜」は、第5部に登場します。
玄竜は助さん格さんと互角に戦うだけでなく、忍者なので弥七とも平気で渡り合う。
組織的戦法を用い、最後の大作戦では弥七から戦意を奪ったほどのツワモノです。
(この第5部のことをもう少し詳しく知りたい方は「水戸黄門史上、最も空気の読めなかった男とは?(1)」をご覧ください)
・・が、惜しい! もうちょっとだったのに・・
柘植久慶さんの人気作『逆撃シリーズ』の御厨太郎なら、玄竜に味方して水戸老公一行の牙城を崩せるのではなかろうか?
これは、そんな空想から生まれた随筆です。ここから読んだ方は是非初回からご覧ください。
第1稿 逆撃シリーズで水戸黄門最強の敵・鉄羅漢玄竜を勝たせてみよう: データベースのトリセツ(絶対的番外編)
結局、弥七の存在により、『最強の敵・鉄羅漢玄竜』の一味が、ここ一番の大勝負で大きく力を削がれたことは想像に難くない。

時代劇 侍シリーズ 1/6 風車の弥七&霞のお新
その意味で、弥七の足止めを重点ポイントとして、それに特化した作戦を計画した玄竜の発想は素晴らしかったと言えます。
それに、あの弥七に「自分自身を駒として当てる」という決断ができるなど、並じゃありません。
「ここは俺に任せて先に行け」的な美しいマンガ調の自己犠牲です。

北斗の拳 ライガとフウガのトレイ
しかも、思惑どおりの戦闘を展開し、確実に役割を果たしている。
弥七は老公一行が閉じ込められた牢へ急行することができず、玄竜に手間取っている間に爆破は起きてしまいました。
そしてその戦闘の最中も玄竜は卑怯な手を使わず、純粋な”忍者同士のバトル”を敢行し、当時テレビを見ていた私は、一瞬たりとも目が離せない展開だった。
これほどまでに輝いた悪役は、近年のマンガ作品なら確実に「オマエ、オレの仲間にならねぇか?」という流れで、一行に加わってもおかしくはありません。
こんなに強い玄竜が、最後どうなったのかは、ご興味のある方は是非作品をご覧ください。

水戸黄門DVD-BOX 第五部
というわけでまとめると、玄竜が敗北してしまった主な要因は、次のようなものと思われます。
【その1】戦力の分散により、玄竜側で主力と遊撃隊の逆転現象が起こったこと
【その2】老公を閉じ込める牢をひとつしか作らず、陽動作戦を展開できなかったこと
【その3】老公に味方した男に避難用のシェルターを作らせてしまい、それを発見できなかったこと
【その4】導火線の長さゆえに、索敵と足止め作戦の難易度を上げてしまったこと
ざっとしたものですが、これらの課題がクリアできれば、玄竜は老公一行を倒せると思います。
逆撃シリーズの主人公・御厨太郎なら、この点をどうやって回避するのか?

逆撃 関ヶ原合戦 上 (C★NOVELS)
日本の裏社会にはびこるおせっかい集団を葬り、その後のテレビ史を書き換えるために、負けたはずの玄竜を勝たせる・・
そんな野望を抱く御厨が、どのように玄竜と接し、その一団の中でどんな地位を占めるに至るか。
ああ、是非とも読んでみたい。
水戸黄門第5部のクオリティが抜群に高かっただけに、スピンアウトストーリーもかなり躍動感を持つ良い作品になると思います。
『逆撃』の作者・柘植久慶さん、書いてほしいと私は勝手に夢想しています…