2019年07月31日

(17)「部下の政治的利用」に手を染める男

悔しさにむせび泣くアギラの姿は眼中になく、例によってセブンは考えなしに・・と

普段ならそうなるはずですが、今回ばかりは違いました。

3番目の前説(マエセツ)担当アギラの獲得により、5つ用意していた派遣社員用のブースを3つに減らし、予算計画を減額しています。

これによって、本社幹部が何の実感も伴わない念仏やお題目のごとくアホみたいに繰り返す『CD(コストダウン)』という単語も、しばらくはセブンから遠ざかるはず。

当事者意識ゼロのまま、無責任に「俺もコレさえ言っときゃ、物事がわかってる風に見えるだろ」というポーズを示すかのような『CD』の連呼がウザい。

経営トップが口にする「CD」という言葉の本当の重みは全く理解できていないのに、上の顔色をうかがって、「これ言っときゃ、機嫌良い」というレベルだったりする。
(1)そもそも使われの身の「コストアップ」提案は許されない
セブンには、幹部たちが何かにつけて口にするこの「CD」が、ショッカー戦闘員の「イー!」にしか聞こえません。

S.H.フィギュアーツ ショッカー戦闘員

浮ついた精神論とか抽象論しかしゃべれない人間は、自分の発言内容に細かく突っ込まれると応じきれないので、尻尾をつかまれないようにモゴモゴ話しますが、この「イー!」だけは明瞭に言う。

そんな連中が居並ぶ会議室に呼び出されるたびセブンは、ショッカーの基地に乗り込んだような錯覚を起こすことがあります(セブンなのに)。

そんな時無意識に、仮面ライダーに憧れている自分に気づきます(セブンなのに)。

(ライダーになりたい)
そうすれば、大手を振ってこいつらを倒せるのに・・(変身ヒーローに憧れるウルトラセブン)


いずれにしても、意味はそっちのけで装飾のように「CD」を口にする幹部たちの姿は、当然、美意識はゼロ。

芸術家肌のセブンは、美意識を感じないものは大嫌いですから、必然的にコストダウンに関するやり取りを、本社とはしたくありません。
posted by 四緑文鳥 at 20:54| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする

2019年07月30日

(16)上司にドタキャンされたアギラ

アギラのためにリベンジの機会をうかがうウルトラセブン(本当は自分のリベンジ)ですが、理想のキャラは中々登場しない。

ウルトラ怪獣シリーズEX アギラ

無念やるかたない気持ちで日々を過ごしています。

そんなある日、とうとう見つけました。

アギラの最高の相方…

恐竜戦車です。
恐竜戦車1.PNG

(ktkr!!)

セブンは激しく高揚します。
脈拍は300を超え、血圧は400近くなり、体温は90度近くに達したかもしれません。

急いでアギラの待機ブースへ向かい、次回の出番を指示します。

似ていることを逆手に取ったセブンの考えに、アギラは(雪辱の機会を与えてもらった)と意気込みます。

しかし、それは単に『カプセル怪獣の出番』が企画されただけとも言えます。
本番になってみたら、ウィンダムやミクラスが相手をつとめる可能性も考えられます。

念のため、他の2人にキャスティング変更の可能性を訊ねてみますが、セブン支店長の前説起用の習性からして、二人が口をそろえて言うには、恐竜戦車を見た瞬間に「ああ、これは相手アギラだな」と確信したと言います。

前説(マエセツ)担当者たちにとっては、セブンの芸のない天丼(繰返し)癖は、もはや定番となっていました。
それを聞いて、アギラは安心します。

「よし、やるぞ! リベンジだ!!」


一方、舞い上がって即座にアギラの起用を決めたセブンですが、改めて恐竜戦車のプロフィール写真を見直したとき、下のほうにちょっとだけ見切れている、あるものが視界に入った瞬間、顔色が変わります。


ウルトラ怪獣シリーズ 64 恐竜戦車


(キャタピラ・・)

セブンの頭の中では、それまでと全く違った光景が展開します。

あれの前に腕を突き出して「踏むなよー、踏むなよー」とフリをかまし、そこを踏ませて激怒するネタをやる誘惑に勝てなくなりました。

(これだけは、どうしても自分がやりたい)

もしアギラを出し、前説の段階で恐竜戦車とジャンガジャンガをやられては、自分のネタが薄まって台無しになる。

問答無用でアギラの起用は取りやめることに決め、自分のネタの質を上げることに没頭します。

本来なら、すぐにアギラに伝えるべきでしょう。

しかし、何度も繰り返すように、セブンは一匹狼的な芸術家肌。
のめり込むと他のことが見えなくなるタイプです。

アギラのことはすっかり頭から離れてしまい、出番消滅を伝えないまま本番当日を迎えることになりました。

舞台袖でディレクターのキューを待っていたアギラは、駆けこんできたADから、前説部分が赤くバッテンされてカットになった台本を見せられ、絶句します。

連日、恐竜戦車とカラオケボックスで繰り返したジャンガジャンガの練習が、すべて無に帰したわけです。

その日の本番中、セブンのネタを見ることなく、彼は掃除用具のロッカーに入って泣いていました。
posted by 四緑文鳥 at 19:58| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする

2019年07月29日

(15)敵とキャラかぶりのアギラ

カプセル怪獣とは、「イイモノ/悪いモノ」式分類でいえば、100%『イイモノ』です。

登場した瞬間に「やった! 味方が来たぞ!」と喜びを以て迎えられてナンボです。

そのため、見た目や戦い方で、敵とは一線を画していることが必要不可欠になってきます。

アギラは、こんな外見です。

ウルトラ怪獣シリーズEX アギラ


デビューの舞台で接触した相手、リッガーはこんなヤツです。

大怪獣シリーズ 「リッガー」 少年リック限定再販


戦っている様子は、こんな感じです。

名鑑シリーズ ウルトラ怪獣戯画 ギガ ウルトラ兄弟決闘史IV 散歩する惑星(レア) 単品


「何としてでも最高の登場シーンを!」と血気にはやったウルトラセブンが、緊張しすぎたがゆえの勇み足の結果ですが、これはいくら何でも…

アギラは丸かぶりしないよう、カメラアングルやセット位置に気を配ります。

また、ツッパリサングラス風のリッガーに、黒目がちの瞳で対抗しようと、スタジオの可愛い女の子を見て気持ちを高ぶらせる工夫をするあたり、派遣会社の営業担当が吹聴した「頭の良さ」は真実だったのかもしれません。

しかし、そんなアドリブの苦労も実を成さず、歯切れの悪いステージになってしまいました。


落ち込むアギラに対し、ここでまたしてもセブンの悪いクセが出ます。

「最初の現場は、あんな感じだった」という踏襲癖、創造放棄、思考停止です。

リッガーの印象が残っているセブンには、もはや焼き直し的な発想しかできないようです。

スカイドンがもう一度空から落ちてくる展開はないか?)

未開封 ウルトラ怪獣名鑑 空の贈り物 スカイドン ウルトラマン USED


(倒したと思ったネロンガが、地中で復活していたとかは無いか?)

ウルトラ怪獣シリーズ32 ネロンガ


こういったキャラが出てきてくれた時、即座にアギラを登板させる。

似た感じの2人がもつれ合ってワチャワチャしたあと、最後はジャンガジャンガで締める、というのが、リッガーの時思いつかずに悔しい思いをしたセブンのリベンジでした。
posted by 四緑文鳥 at 19:50| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする

2019年07月28日

(14)思惑通りに舐められた男

「こちらのアギラさんは、御社での勤務に魅力を感じてるということで、逆指名ができないかと私に相談されまして・・」

「ホウ」

派遣会社営業の釣りトークにまんまとハマったセブンは、ポーカーフェースを装いますが、意思とは無関係にアイスラッガーが前後にグラインドし、おまけにビームランプが赤く点滅しています。

それが、激熱リーチ彼の気持ちの高揚を表していると、営業は充分承知しています。

「しかも、アギラさんはかなり頭も切れるので、前の職場でも好評だったんですよ!」

そんな好評な職場をなぜ辞めたのか? とセブンは訊くべきだったかもしれないが、「頭の切れるカプセル怪獣」は、現状、彼が最も望む人材です。

またもや、即採用となりました。

(やはりチョロイ)

今回ばかりは感激のあまり事務所の外まで見送りに出たセブンに、恐縮するフリをしつつ、派遣会社営業は冷笑しながら商談の場を去りました。


こうしてアギラは、3番目のブースを占めるカプセル怪獣となりました。

採用面接の現場で「頭が切れる」というあいまいな尺度で有能さを売られたアギラが、前の職場でどんなふうに好評だったのか?

ひょっとしたら、課のカラオケ大会の仕切りが上手いとか、残業の時やってるUNOが強いとか、キャバクラの勘定を値切りつつ嫌われないとかいう立ち回り「あいつ面白れえな」という評価を生んでいたのかもしれない。

派遣会社の営業がどう考えていたかはともかく、確かにその能力は“前説担当”としての実力を担保できる可能性がある。

しかしセブンはそれも考えていません。

地球支店の認知度アップと共に、自社に憧れて応募してくるスタッフがいたということに舞い上がっていたのです。

『逆指名した』などと営業は言いましたが怪しいものです。

行き場が無く困っていたアギラにM78地球支店のことを話し、「よさそうですね」と軽く相づちを打った程度のアギラのリアクションを、強引に膨らませた疑い大です。

しかしセブンは知らぬが花。

本社がバカの一つ覚えのように繰り返すので、もはや大嫌いな単語になっている「コストダウン」を実現するのは今だ。

3人目の前説担当確保を期に、満を持して5名⇒3名枠への転換で予算減額すればよい。
現場を知らない(知ろうともしない)幹部どもは、予実対比の尺度で批評することが己の頭の良さだと思い込んでいるからです。


(あとは、3人目を上手く使うことが課題になるな。どの回から投入するか。失敗は許されない)

セブンの気持ちは極限まで逸っています。
興奮しすぎた競馬馬でいう『入れ込みすぎ』だったかもしれません。

焦りすぎて、意思とは無関係に体がビクンと痙攣した経験を持つ人は多いと思います。
アギラの初回の出番は、そのようなニュアンスで決まりました。

さて、アギラの運命はいかに・・
posted by 四緑文鳥 at 07:04| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする

2019年07月27日

(13)金づるとして舐められる男

「前説担当のカプセル怪獣が、あと1名採用できたら、5ブースから3ブースへの減数を本社に伝えよう」

本社嫌いのセブンが、ようやく重い腰をあげた頃、彼のもとへ朗報が飛び込みました。

あの派遣会社の営業からです。
(6)部下の採用面接が雑な男: データベースのトリセツ番外編(完全版w)
(アイツ信用できないんだよな。最近マネージャーへ昇進したとか自慢コイてたけど、押し売りで数字作ったんじゃないのか?)

芸術家肌のセブンは、美意識を感じない人間を好みません。
気難しさが目立つが、彼は真面目で仕事にこだわるタイプ。

そんな彼も、最近の地球支店が世間に認知され、人気が出てきたことを知って秘かな喜びと自信を感じるようになっています。

(人材の確保も、初期の頃より容易になっているはずだ)

しばらく前、なかなか進まないカプセル怪獣採用に業を煮やし、派遣会社の営業に少しキツくあたったことがあります。

常にこちらを小馬鹿にしたような態度を奥底に潜ませたあの営業は、新たに付加された“マネージャー”という文字が印刷された真新しい名刺をこれ見よがしに渡しつつ、『地球支店の就職市場価値の低さ』をセブンに告げました。

採用が進まないのはオタクの責任だ、と言わんばかりに…

(コイツのいるこの会社との付き合いは、金輪際止めよう)

内心そう決意した表情を読み取った営業は
(さすがにマズかった。少し機嫌とっておくか)
と、持ち前の変わり身の早さでセブンの先手を取ろうとします。

それが、セブンは「偶然受け取った」と思い込んだ『朗報』です。

(チョロイな)

通話をオフにした派遣会社営業は、セブンのお粗末な身内採用(ウィンダムのこと)によりシェアをイーブンにされたカプセル怪獣ブース争奪戦が、これで一歩リードできると確信した。

そろそろ、世間の評判に乗せられて自意識過剰になるであろうセブン支店長が、必ず喰いつくであろうキラーワードを出すつもりだったからです。
posted by 四緑文鳥 at 08:48| Comment(0) | 一匹狼的上司のウルトラセブン | 更新情報をチェックする